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医療コラム

2025.08.25

AGA(男性型脱毛症)とは?原因から治療法・自分でできる対策まで専門家が徹底解説

AGA(男性型脱毛症)とは?原因から治療法・自分でできる対策まで専門家が徹底解説

「最近、抜け毛が増えた気がする」

「髪のボリュームが減ってきたかも…」と感じていませんか。

もしかしたら、それはAGA(男性型脱毛症)のサインかもしれません。

AGAは成人男性に多く見られる進行性の脱毛症で、放っておくと症状はゆっくりと悪化していきます。

しかし、AGAは決して珍しい症状ではなく、その原因やメカニズムは医学的に解明されています。

正しい知識を身につけ、適切なタイミングで対処を始めることが、髪の悩みを解決するための第一歩です。

この記事では、AGAの基本から原因、具体的な治療法、そして今日から自分で始められる対策まで、あなたの不安に寄り添いながら一つひとつ丁寧に解説します。

AGAとは?進行性の男性型脱毛症の基本

AGAとは「Androgenetic Alopecia」の略称で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれています。

これは成人男性によく見られる脱毛症の一種で、思春期以降に発症し、徐々に進行していくのが特徴です。

日本の成人男性の約3人に1人がAGAの症状に悩んでいるというデータもあり、男性の薄毛の悩みの90%以上がAGAに起因するともいわれています。

AGAの根本的な原因は、ヘアサイクル(毛周期)の乱れにあります。

健康な髪は「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルを繰り返しており、通常2〜6年続く「成長期」に太く長く成長します。

しかしAGAを発症すると、この成長期が数ヶ月から1年程度にまで短縮されてしまいます。

そのため髪が十分に育つ前に抜け落ちてしまい、細く短い毛が増えることで、全体的に薄毛が目立つようになるのです。

AGAは進行性のため、何もしなければ薄毛はゆっくりと確実に悪化していきます。

毛根が髪を生み出すサイクルには限界があるため、手遅れになる前のできるだけ早い段階で、専門家へ相談することが大切です。

AGAの主な原因は男性ホルモンと遺伝

AGAが発症する根本的な原因は、男性ホルモンと遺伝的要因の2つが大きく関わっています。

ストレスや生活習慣の乱れは、AGAの直接的な原因ではありません。

しかし、頭皮環境を悪化させ、症状の進行を早めてしまう可能性があります。

AGAのメカニズムを正しく理解することは、適切な対策を立てる上で非常に重要です。ここでは、AGAを引き起こす主な3つの要因について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

原因①:強力な男性ホルモン「DHT」の生成

AGAによる薄毛の直接的な引き金となるのは、DHT(ジヒドロテストステロン)という強力な男性ホルモンです。

DHTは、体内に存在する男性ホルモン「テストステロン」が、「5αリダクターゼ」という還元酵素と結びつくことで生成されます。

この生成されたDHTが、髪の毛根にあるホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)と結合することが問題です。

結合すると、毛母細胞に対して「脱毛シグナル」が送られ、髪の成長期が強制的に短縮されてしまうため、薄毛が進行するのです。

テストステロンや5αリダクターゼはもともと体内に存在する物質のため、これらを取り除くことはできません。

そのためAGA治療では、薬によって5αリダクターゼの働きを阻害し、DHTの生成を抑制することが基本的なアプローチとなります。

原因②:遺伝的に決まるホルモン受容体の感受性

AGAの発症には、遺伝が強く関与していることがわかっています。

AGAの正式名称である「Androgenetic Alopecia」の「genetic」が「遺伝」を意味することからも、その関連性の深さがうかがえます。

特に遺伝するのは、毛根にあるホルモン受容体がDHTをどれだけキャッチしやすいかという「感受性の高さ」です。

この感受性は遺伝子レベルで決まっており、感受性が高い人ほどDHTの影響を受けやすく、AGAを発症しやすい体質といえます。

ある研究では、薄毛の原因の約81%は遺伝によるものだと報告されています。

たとえ生活習慣が全く異なる一卵性の双子であっても、髪の状態はほとんど同じように変化していくという調査結果もあるほどです。

遺伝による体質そのものを変えることはできませんが、治療によって薄毛の進行をコントロールすることは十分に可能です。

AGAを加速させる生活習慣の乱れ

ストレスや食生活の乱れ、睡眠不足といった生活習慣は、AGAの直接的な原因にはなりません。

しかし、これらの要因は頭皮の血行不良を招き、髪の健やかな成長を妨げることで、AGAの進行を加速させる可能性があります。

強いストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮への血流を悪化させます。

また、睡眠不足は髪の成長に不可欠な成長ホルモンの分泌を妨げる一因です。

さらに、脂質の多い食事は頭皮の皮脂バランスを崩し、喫煙は血行を阻害するため、いずれも髪にとってはマイナスに働きます。

遺伝という根本的な土台の上に、不摂生な生活習慣が重なることでAGAの進行が早まる恐れがあるため、日頃から規則正しい生活を心がけることが望ましいです。

AGAの進行パターンとセルフチェック

AGAは進行性の脱毛症ですが、その症状の現れ方にはいくつかの特徴的なパターンがあります。

自分の薄毛がどのパターンに当てはまるのかを知ることは、AGAの可能性を判断する上で役立ちます。

また、AGAの初期症状は、抜け毛の量だけでなく「髪質の変化」に現れることが多いです。ここでは、代表的な進行パターンと、自宅でできるセルフチェックのポイントを紹介します。ご自身の状態と照らし合わせてみてください。

生え際から後退する「M字型」

M字型は、額の生え際の両サイド(こめかみの上あたり)から後退していく進行パターンです。

正面から見たときに、生え際の形がアルファベットの「M」のように見えることから、この名前で呼ばれています。

このタイプは、いわゆる「M字ハゲ」として知られ、AGAの比較的初期段階でみられることが多い症状です。

毎日鏡を見ていても、少しずつの変化のため自分では気づきにくく、進行が遅れてしまうケースも少なくありません。

前髪を上げたときに、以前より剃り込みが深くなったと感じる場合は注意が必要です。

放置すると、後退部分がさらに広がり、前頭部全体が薄くなるU字型へと進行することがあるため、早期の対処が望ましいでしょう。

頭頂部から薄くなる「O字型」

O字型は、頭のてっぺんにあるつむじ周辺から、円形に薄毛が進行していくパターンを指します。

上から見たときに、薄くなった部分がアルファベットの「O」のように見えるのが特徴です。

このO字型は、正面の鏡では確認しにくいため、自分自身で初期症状に気づくのが難しいパターンといえます。

家族や友人から「つむじのあたりが薄くなっているよ」と指摘されて、初めて自覚する方も少なくありません。

そのため、気づいたときには症状がかなり進行してしまっているケースもあるでしょう。

合わせ鏡を使ったり、スマートフォンで撮影したりして、定期的に頭頂部の状態を確認する習慣をつけておくと安心です。

全体的に進行する「U字型」と複合型

U字型は、額の生え際が全体的に後退していくパターンです。

M字型のように両サイドだけが後退するのではなく、前頭部が均一に後ろへ下がっていくため、比較的早い段階で変化に気づきやすいといえるでしょう。

症状が進行すると、頭頂部のO字型の薄毛とつながり、側頭部と後頭部の髪だけが残る状態になります。

また、M字型とO字型が同時に進行する「複合型」もよく見られるパターンです。

これらのパターンは、AGAの進行度を分類する「ハミルトン・ノーウッド分類」という指標で細かく分けられています。

どのパターンであっても、最終的には側頭部と後頭部以外の毛髪が失われる状態へと進行していくため、気になった時点で対策を始めることが重要です。

もしかしてAGA?自宅でできる初期症状の確認リスト

AGAのサインは、抜け毛の量が急に増えることだけではありません。むしろ、髪の「質」の変化にこそ、注意すべき初期症状が隠されています。以下のリストに当てはまる項目がないか、ご自身の髪の状態を確認してみてください。

  • シャンプーのときや朝起きたときの抜け毛が増えた
  • 髪の毛にハリやコシがなくなり、細く弱々しくなった
  • 以前より髪のセットがしにくくなったと感じる
  • 短くて細い「産毛」のような毛が抜け毛に混じるようになった
  • 頭頂部や生え際の地肌が透けて見えるようになった

特に重要なのが、髪質の変化です。AGAによってヘアサイクルが乱れると、髪が太く長く成長する前に抜けてしまうため、細く短い毛が増えていきます。もし抜けた毛の中に、弱々しい産毛のような毛が多く見られる場合、AGAが進行している可能性が高いと考えられます。一つでも当てはまる項目があれば、一度専門のクリニックに相談してみることをおすすめします。

受診への不安を和らげるために:診断の流れ

診断の基本となる問診と視診

AGAの診断は、主に医師による問診と視診によって行われます。これは、AGAが特徴的な見た目の変化を伴うためです。

問診では、いつから薄毛が気になり始めたか、家族に薄毛の人はいるか(家族歴)、生活習慣や既往歴などについて質問されます。これらの情報は、薄毛の原因がAGAによるものか、あるいは他の要因が関係しているかを判断するための重要な手がかりとなります。

次に視診では、医師が直接、頭皮や髪の状態を目で見て確認します。薄毛の進行パターン(M字型、O字型など)や、髪の毛の太さ、密度、頭皮の色や炎症の有無などをチェックします。クリニックによっては、マイクロスコープやダーモスコピーといった拡大鏡を使い、毛穴の状態や髪の細さをより詳しく観察することもあります。

血液検査や遺伝子検査でわかること

問診と視診に加えて、より詳しく状態を調べるために血液検査や遺伝子検査が行われることがあります。血液検査の主な目的は、AGA以外の脱毛症(甲状腺疾患など)の可能性を排除することと、治療薬を安全に使用できるかを確認することです。

AGA治療薬は肝臓で代謝されるため、治療開始前に肝機能に問題がないかをチェックすることは非常に重要です。

また、保険診療外ですが遺伝子検査を受けることも可能です。この検査では、男性ホルモンへの感受性に関わる「アンドロゲンレセプター遺伝子」を調べることで、遺伝的にAGAを発症しやすい体質かどうかを判定できます。さらに、フィナステリドなどの治療薬が効きやすい体質かどうかの予測もできるため、より個人に合った治療計画を立てる上で役立つ情報が得られるでしょう。

AGAの主な治療法と期待できる効果

AGAは進行性の脱毛症ですが、幸いなことに医学的に効果が認められた治療法が確立されています。治療の基本は、薬物療法です。AGA治療薬は、大きく分けて「抜け毛の進行を抑える(守りの治療)」薬と、「発毛を促す(攻めの治療)」薬の2種類があります。これらの治療を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。ここでは、AGA治療で中心となる代表的な治療薬と、その他の治療選択肢について解説します。

抜け毛を抑制する「フィナステリド」「デュタステリド」

フィナステリド(商品名:プロペシア)とデュタステリド(商品名:ザガーロ)は、AGAの進行を抑えるための内服薬です。これらの薬は、AGAの根本原因であるDHTの生成を抑制する働きがあります。

具体的には、テストステロンをDHTに変換する5αリダクターゼという酵素の働きを阻害します。フィナステリドはII型の5αリダクターゼのみを、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害するため、デュタステリドの方がより強力にDHTの生成を抑制する効果が期待できるとされています。

これらの薬は、乱れたヘアサイクルを正常に戻し、抜け毛を減らして今ある髪を守る「守りの治療」と位置づけられています。副作用として、稀に性欲減退や勃起機能不全などが報告されていますが、発生頻度は低いとされています。

発毛を促進する「ミノキシジル」

ミノキシジルは、発毛を促進する効果が認められている成分です。もともとは高血圧の治療薬として開発されましたが、副作用として多毛が見られたことから、薄毛治療薬として再開発された経緯があります。

ミノキシジルの主な作用は、頭皮の血行を促進し、髪の成長に必要な栄養を毛根に届けやすくすることです。また、髪をつくり出す毛母細胞を直接活性化させることで、発毛を促す効果も期待できます。

この薬は、新しい髪を生やし、細い髪を太く育てる「攻めの治療」に用いられます。日本国内で承認されているのは頭皮に直接塗布する外用薬タイプで、ドラッグストアなどでも購入可能です。一方で、より効果が高いとされる内服薬(ミノキシジルタブレット)もありますが、国内ではAGA治療薬として未承認のため、医師の慎重な判断のもとで処方されます。

内服薬・外用薬の併用とその他の治療選択肢

AGA治療で最も効果的なのは、抜け毛を抑制する薬と発毛を促進する薬を併用することです。フィナステリドやデュタステリドでAGAの進行にブレーキをかけながら、ミノキシジルで発毛のアクセルを踏むというイメージです。この2つのアプローチを組み合わせることで、抜け毛を減らしつつ、新しい髪を育てるという相乗効果が期待できます。

薬物療法以外にも、より進行したAGAに対する治療選択肢が存在します。「メソセラピー」は、発毛を促す有効成分や成長因子を、注射や特殊な機器を使って頭皮に直接注入する治療法です。また、「自毛植毛」は、男性ホルモンの影響を受けにくい後頭部の自毛を、薄くなった部分に移植する外科的な手術です。これらの治療は、薬物療法だけでは十分な効果が得られない場合に検討されることがあります。

薬剤名種類主な効果副作用の可能性入手方法
フィナステリド(プロペシア)内服薬DHT生成抑制(抜け毛予防)性欲減退、肝機能障害など医師の処方
デュタステリド(ザガーロ)内服薬DHT生成抑制(より強力)勃起不全、性欲減退など医師の処方
ミノキシジル(外用薬)外用薬血行促進、毛母細胞活性化(発毛促進)頭皮のかゆみ、かぶれなど医師の処方、市販
ミノキシジル(内服薬)内服薬血行促進、毛母細胞活性化(より強力)多毛症、動悸、むくみなど医師の処方(国内未承認)

自分でできるAGAの予防と対策

AGAの根本的な改善には医療機関での治療が不可欠ですが、日々の生活習慣を見直すことも、髪の健康を支える上で非常に重要です。これから紹介するセルフケアは、AGAの進行を直接止めるものではありません。しかし、頭皮環境を整え、治療薬の効果を最大限に引き出すための土台作りとして役立ちます。いわば、医療が主役なら、セルフケアはそれを支える最高の助演者です。今日から始められる簡単な習慣を取り入れて、健やかな髪を育む生活を目指しましょう。

髪の成長を支える食生活の見直し

髪の毛は、私たちが食べたものから作られています。そのため、バランスの取れた食事は、健康な髪を育むための基本中の基本です。特に意識して摂取したいのが、髪の主成分である「タンパク質」、髪の成長をサポートする「亜鉛」、そして頭皮の代謝を助ける「ビタミンB群」です。

肉、魚、卵、大豆製品から良質なタンパク質を摂り、牡蠣やナッツ類で亜鉛を、レバーや緑黄色野菜でビタミンを補給することを心がけましょう。

一方で、脂っこい食事やインスタント食品、糖質の摂りすぎは皮脂の過剰分泌を招き、頭皮環境を悪化させる原因となるため、控えるのが賢明です。まずは三食をきちんと摂り、バランスの良い食事を意識することから始めてみてください。

質の高い睡眠とストレス管理の重要性

質の良い睡眠は、髪の成長にとって欠かせない要素です。睡眠中、特に眠り始めの深いノンレム睡眠時に、髪の成長を促す「成長ホルモン」が最も多く分泌されるためです。

理想的には6時間以上の睡眠時間を確保し、毎日同じ時間に寝起きする習慣をつけ、体内時計を整えましょう。

また、寝る直前のスマートフォンやパソコンの使用は、ブルーライトが脳を覚醒させ、睡眠の質を低下させるため避けるのが望ましいです。

ストレスもまた、髪の大敵です。過度なストレスは自律神経を乱して血管を収縮させ、頭皮への血流を悪化させます。ウォーキングなどの軽い運動や、趣味に没頭する時間を作るなど、自分なりのストレス解消法を見つけて、心身をリラックスさせることが大切です。

頭皮環境を整える正しいヘアケア方法

毎日のヘアケアも、頭皮環境を健やかに保つためには重要です。シャンプーの目的は、髪の汚れだけでなく、頭皮の余分な皮脂や汚れを落とすことにあります。

洗浄力の強すぎるシャンプーは必要な皮脂まで奪ってしまうため、頭皮に優しいアミノ酸系のシャンプーを選ぶのがおすすめです。

洗う際は、爪を立てずに指の腹で頭皮をマッサージするように優しく洗い、シャンプー剤が残らないよう、すすぎは時間をかけて丁寧に行いましょう。

また、紫外線は肌だけでなく頭皮にもダメージを与え、乾燥や炎症の原因となります。日中の外出時には帽子や日傘を利用して、頭皮を紫外線から守る工夫も効果的です。

正しいヘアケアで清潔で健康な頭皮環境を維持することが、育毛の第一歩といえるでしょう。

AGAの悩みは早期相談が鍵

AGAは、遺伝や男性ホルモンが原因で起こる進行性の脱毛症です。この記事で解説したように、そのメカニズムは解明されており、有効な治療法も確立されています。

最も大切なのは、一人で悩み続けず、できるだけ早い段階で専門の医療機関に相談することです。

AGAの進行を放置してしまうと、治療を開始しても効果が現れるまでに時間がかかったり、回復が難しくなったりする可能性があります。

毛根には髪を生み出す力が残っているため、その力が失われる前に治療を始めることが、将来の髪を守るための最大の鍵となります。

「最近、髪質が変わったかも」「地肌が少し目立つようになったかな」と感じたら、それは専門家へ相談する良いタイミングです。

クリニックへの相談は、決して特別なことではありません。正確な診断を受け、自分に合った治療法を知ることで、漠然とした不安は具体的な希望へと変わるはずです。

勇気を出して一歩を踏み出すことが、あなたの悩みを解決する最も確実な道といえるでしょう。

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