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2026.02.06
花粉症の季節になると、目のかゆみや充血、涙目に悩まされる方は多いのではないでしょうか。
目の症状を和らげるために目薬を使いたいけれど、「市販薬と処方薬はどう違うの?」「コンタクトをしたままでも使える?」「どの成分を選べばいいの?」と迷う方も少なくありません。
花粉症による目の症状は、花粉が目の粘膜に付着してアレルギー反応を起こすことで発生します。
適切な目薬を選び、正しい方法で使用することで、つらい症状を効果的に抑えることが期待できます。
この記事では、花粉症の目薬の種類や成分の違い、市販薬と処方薬の選び方、コンタクトレンズ使用時の注意点、そして効果を最大限に引き出す正しい使い方まで詳しく解説します。
花粉症シーズンを少しでも快適に過ごすために、ぜひ参考にしてください。
Contents
花粉症で目がかゆくなったり充血したりするのは、アレルギー反応によるものです。
まずは、花粉症で目に症状が出る仕組みを理解しておきましょう。
花粉症による目の症状は、医学的には「アレルギー性結膜炎」と呼ばれます。
花粉が目の粘膜(結膜)に付着すると、体内の免疫システムが花粉を異物と認識し、IgE抗体という物質を作り出します。
このIgE抗体が結膜にある肥満細胞と結合し、再び花粉が侵入したときにヒスタミンなどの化学物質が大量に放出されます。
ヒスタミンが知覚神経を刺激することでかゆみが生じ、血管を拡張させることで充血が起こります。
異物である花粉を洗い流そうとして涙が大量に分泌されるのです。
花粉症で起こる目の症状には、以下のようなものがあります。
目の三大症状は、目のかゆみ、充血(目が赤くなる)、涙目(涙が止まらない)です。
その他の症状として、目のゴロゴロ感(異物感)、目やにが出る、まぶたの腫れ、目がしみる・痛い、まぶたや目の周りのかゆみなどがあります。
特にまぶたの腫れや目の周りのかゆみは、花粉が皮膚に付着することで起こる「花粉皮膚炎」の可能性もあります。
目の症状と皮膚の症状が同時に出ている場合は、皮膚科での相談もおすすめです。
目がかゆいとつい手でこすってしまいがちですが、これは症状を悪化させる原因になります。
目をこすることで肥満細胞がさらに刺激され、ヒスタミンの放出が促進されてしまいます。
その結果、かゆみがさらに強くなるという悪循環に陥ります。
目をこすることで角膜や結膜を傷つけてしまう可能性もあります。
爪や指で皮膚を傷つけると、まぶたの周りに色素沈着が起こることもあるため注意が必要です。
かゆみを感じたら、こすらずに冷やしたタオルで目を冷やすか、目薬を使用するようにしましょう。
花粉症の治療に使われる目薬には、いくつかの種類があります。
それぞれの特徴を理解して、自分の症状に合った目薬を選びましょう。
抗ヒスタミン点眼薬は、すでに放出されたヒスタミンの働きをブロックするお薬です。
ヒスタミンが受容体に結合するのを防ぐことで、かゆみや充血などの症状を抑えます。
即効性があるのが特徴で、点眼後比較的早く効果を実感できることが多いです。
現在、花粉症の目薬として最も多く使われているタイプといえます。
代表的な成分には、オロパタジン(パタノール)、エピナスチン(アレジオン)、レボカバスチン(リボスチン)、ケトチフェン(ザジテン)などがあります。
抗アレルギー点眼薬は、肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されるのを抑えるお薬です。
アレルギー反応そのものを起こりにくくする「予防的な効果」が期待できます。
ただし、効果が出るまでに数日から2週間程度かかることがあります。
そのため、花粉が飛び始める前から使い始めることで、より高い効果が期待できます。
代表的な成分には、クロモグリク酸ナトリウム(インタール)、アシタザノラスト(アイビナール)、ペミロラスト(アレギサール)などがあります。
なお、パタノールやアレジオンなどの新しい抗ヒスタミン点眼薬は、抗ヒスタミン作用と抗アレルギー作用の両方を持っているため、現在はこれらのお薬が主流となっています。
免疫抑制点眼薬は、免疫反応自体を抑えることでアレルギー症状を改善するお薬です。
他の目薬で効果が得られない重症のアレルギー性結膜炎に対して使用されます。
免疫力を抑えるため、感染症にかかりやすくなるリスクもあり、医師の指示のもとで適切に使用することが重要です。
| 種類 | 主な作用 | 即効性 | 市販薬 | 主な成分例 |
|---|---|---|---|---|
| 抗ヒスタミン点眼薬 | ヒスタミンの働きをブロック | ◎ | あり | オロパタジン、エピナスチン、ケトチフェン |
| 抗アレルギー点眼薬 | ヒスタミンの放出を抑制 | △ | あり | クロモグリク酸、アシタザノラスト |
| 免疫抑制点眼薬 | 免疫反応を抑制 | △ | なし | シクロスポリン |
花粉症の目薬は、ドラッグストアで購入できる市販薬と、医療機関で処方される処方薬があります。
それぞれの違いを理解して、自分に合った選択をしましょう。
処方薬と市販薬では、含まれている抗ヒスタミン成分の種類や濃度に違いがある場合があります。
処方薬には、市販薬では使用できない強力な抗ヒスタミン成分が含まれていることがあり、かゆみを抑える効果がより高いとされています。
処方薬は医師が患者さんの症状や体質を診察した上で、最適なお薬を選んで処方します。
症状に合わせたオーダーメイドの治療が受けられる点も、処方薬のメリットといえます。
市販の目薬を数日間使用しても症状が改善しない場合は、眼科を受診することをおすすめします。
花粉症だと思っていた症状が、実は細菌性やウイルス性の結膜炎だったというケースもあります。
自己判断で市販薬を使い続けるよりも、医師の診察を受けることで適切な治療につながります。
市販薬は保険適用外のため全額自己負担となります。
一方、処方薬は健康保険が適用されるため、1〜3割負担で購入できます。
市販の花粉症用目薬は1本1,000〜2,500円程度のものが多く、処方薬の場合は診察代と薬代を合わせても同程度か、場合によっては処方薬の方が安くなることもあります。
花粉症シーズン全体を通して継続的に治療する場合は、医療機関を受診して処方薬をもらう方が費用を抑えられる可能性があります。
ジェネリック医薬品を選択することで、さらに薬代を抑えることもできます。
ここでは、医療機関で処方される代表的な目薬と、市販薬の選び方のポイントをご紹介します。
花粉症の目の症状に対して、眼科や内科、耳鼻咽喉科などで処方される主な点眼薬をご紹介します。
パタノール点眼液(オロパタジン)は、抗ヒスタミン作用と抗アレルギー作用の両方を持つ点眼薬です。
1日4回点眼で、即効性があり効果も高いとされています。
現在、花粉症の目薬として広く使われています。
アレジオン点眼液(エピナスチン)は、パタノールと同様に、抗ヒスタミン作用と抗アレルギー作用を併せ持ちます。
1日4回点眼タイプと、1日2回で済むアレジオンLXがあります。
防腐剤フリーの製剤もあり、コンタクトレンズ装用中でも使用できる点が特徴です。
リボスチン点眼液(レボカバスチン)は、抗ヒスタミン作用を持つ点眼薬です。
1日4回点眼で、ジェネリック医薬品もあるため費用を抑えたい方に向いています。
ザジテン点眼液(ケトチフェン)は、抗ヒスタミン作用と抗アレルギー作用の両方を持つ点眼薬です。
1日4回点眼で、長く使われている実績のあるお薬です。
アレジオンLX点眼液は、従来のアレジオン点眼液の濃度を2倍にしたお薬です。
1日2回の点眼で効果が持続するため、日中忙しくて点眼を忘れがちな方にも使いやすいのが特徴です。
防腐剤(塩化ベンザルコニウム)を含まない製剤設計のため、ソフトコンタクトレンズやハードコンタクトレンズを装用したまま点眼できます。
コンタクトレンズユーザーにとって、大きなメリットといえるでしょう。
ただし、薬価がやや高めのため、費用面が気になる方は医師に相談してみてください。
2024年にはジェネリック医薬品も発売されています。
市販の花粉症用目薬を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。
症状に合った成分を選ぶことが大切です。
かゆみが強い場合は抗ヒスタミン成分(クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンなど)を選びましょう。
充血が気になる場合は血管収縮成分(ナファゾリン、テトラヒドロゾリンなど)が含まれたものが効果的です。
予防的に使いたい場合は抗アレルギー成分(クロモグリク酸、アシタザノラストなど)を選びましょう。
点眼回数を確認することも重要です。
1日5〜6回点眼が必要なものが多いですが、朝晩2回で済むタイプもあります。
忙しい方は点眼回数の少ないものを選ぶと継続しやすいでしょう。
しみにくさを考慮することも大切です。
目の状態が悪いときは、メントールやカンフルなどの清涼成分が入っているとしみることがあります。
症状が強いときはマイルドタイプを選ぶのがおすすめです。
| 薬品名 | 一般名 | 点眼回数 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| パタノール | オロパタジン | 1日4回 | 即効性あり、広く使用 |
| アレジオン | エピナスチン | 1日4回 | 防腐剤フリーあり |
| アレジオンLX | エピナスチン | 1日2回 | コンタクト装用可 |
| リボスチン | レボカバスチン | 1日4回 | ジェネリックあり |
| ザジテン | ケトチフェン | 1日4回 | 長期使用実績あり |
| インタール | クロモグリク酸 | 1日4回 | 予防効果が高い |
コンタクトレンズを使用している方は、目薬の選び方や使い方に注意が必要です。
誤った使い方をすると、目やレンズにトラブルが起こる可能性があります。
花粉症の目薬の多くは、コンタクトレンズを装用したままでの使用が推奨されていません。
添付文書(説明書)に「コンタクトレンズを外してから点眼してください」と記載されている場合は、必ずレンズを外してから使用しましょう。
点眼後は、5〜10分程度時間をあけてからコンタクトレンズを装着するのが一般的です。
具体的な時間は、使用する目薬によって異なるため、添付文書を確認するか薬剤師に相談してください。
目薬には、薬液を清潔に保つために防腐剤が含まれていることがほとんどです。
特に問題となるのが、ベンザルコニウム塩化物という防腐剤です。
この成分はソフトコンタクトレンズに吸着しやすく、レンズの変形を引き起こす可能性があります。
レンズに吸着した防腐剤が目に長時間触れることで、角膜を傷つけるリスクもあります。
コンタクトレンズを使用している方が目薬を選ぶ際は、防腐剤フリーの製品や、コンタクト使用可と明記されている製品を選ぶことが大切です。
処方薬の中で、コンタクトレンズを装用したまま使える花粉症の目薬は限られています。
現在、代表的なものはアレジオン点眼液(アレジオンLXを含む)です。
アレジオン点眼液は防腐剤を含まない製剤設計のため、ソフトコンタクトレンズやハードコンタクトレンズを装用したまま点眼できます。
コンタクトを使用している方で花粉症の目の症状に悩んでいる場合は、医師に相談してみてください。
市販薬では、「コンタクト使用可」と明記されている防腐剤フリーの製品を選びましょう。
ただし、市販の花粉症用目薬でコンタクト使用可のものは、処方薬に比べて効果がマイルドな傾向があります。
花粉症の症状がひどいときは、できればコンタクトレンズの使用を控え、メガネに切り替えることをおすすめします。
コンタクトレンズを装用していると、レンズに花粉が付着してアレルギー症状が悪化しやすくなります。
目をこすりたくなったときにコンタクトレンズが入っていると、レンズがずれたり目を傷つけたりするリスクが高まります。
花粉症の時期は花粉対策用のメガネ(花粉症用ゴーグル)を使用すると、目に入る花粉の量を大幅に減らすことができます。
どうしてもコンタクトレンズを使用する必要がある場合は、1日使い捨てタイプを選ぶと衛生的です。
目薬は正しく使用することで、その効果を最大限に発揮できます。
意外と知られていない正しい点眼方法を身につけましょう。
目薬を使う前には、必ず石けんで手を洗いましょう。
手についた汚れや細菌が目に入ると、感染症を引き起こす原因になります。
目薬の容器の先端がまぶたやまつげに触れないように注意してください。
容器の先端に触れると、そこから細菌が薬液に入り込み、目薬が汚染される原因になる場合があります。
目薬は1回1滴で十分な量です。
「たくさんさした方が効く」と思って2滴以上点眼する方もいますが、実は無駄になってしまいます。
目に保持できる涙の量は約20〜30マイクロリットルですが、目薬1滴の量は30〜50マイクロリットルあります。
つまり、1滴でも目からあふれ出るくらいの量があるのです。
2滴以上さしても目からあふれ出るだけで、効果は変わりません。
むしろ、あふれた薬液が目の周りの皮膚に付着し、かゆみやかぶれの原因になることもあります。
目薬をさした後に目をパチパチとまばたきする方が多いですが、これは逆効果です。
まばたきをすると涙の分泌が促され、せっかくの目薬が涙と一緒に流れ出てしまいます。
正しい方法は、点眼後に静かに目を閉じて、約1分間そのまま待つことです。
これにより、お薬の成分が目の表面に行き渡り、しっかりと吸収されます。
点眼後に目を閉じたら、目頭(鼻に近い部分)を軽く押さえるとより効果的です。
目頭には涙点という穴があり、ここから涙が鼻やのどへ流れていきます。
目頭を押さえることで、目薬が涙点から流れ出るのを防ぎ、目の表面にお薬がとどまりやすくなります。
目薬をさした後に苦味を感じたことがある方は、お薬が鼻やのどに流れているサインです。
目頭を押さえる習慣をつけましょう。
複数の目薬を使用している場合は、それぞれの点眼の間隔を5分以上あけるようにしましょう。
続けてさすと、先にさした目薬が後の目薬で洗い流されてしまい、十分な効果が得られません。
点眼の順番に迷う場合は、医師や薬剤師に相談してください。
一般的には、水っぽい目薬を先に、粘度の高い目薬やゲル状の目薬を後にさすことが多いです。
花粉症の目薬、特に抗アレルギー点眼薬は、症状が出てから使い始めるよりも、症状が出る前から使い始める方が効果的です。
これを「初期療法」といいます。
花粉の飛散が始まる1〜2週間前から点眼を開始することで、シーズン全体を通して症状を軽く抑えられることがわかっています。
「かゆくなってから使う」のではなく、「かゆくならないように使う」という意識を持ちましょう。
症状が落ち着いたからといって途中で点眼をやめると、再び症状が悪化することがあります。
花粉シーズンが終わるまで、継続して使用することが大切です。
花粉症の目薬について、よくある疑問にお答えします。
花粉症の目薬はいつから使い始めるべきですか?
花粉の飛散が始まる1〜2週間前から使い始めるのが理想的です。
スギ花粉の場合、地域によって差がありますが、関東地方では2月上旬頃から飛散が始まります。
毎年花粉症の症状が出る方は、1月下旬〜2月上旬頃から点眼を開始すると、シーズン全体を通して症状を軽く抑えられる可能性があります。
花粉飛散情報をチェックして、早めの対策を心がけましょう。
市販の目薬で効果がない場合はどうすればいいですか?
市販の目薬を数日間使用しても症状が改善しない場合は、眼科を受診することをおすすめします。
花粉症だと思っていた症状が、実は別の目の病気だったというケースもあります。
目の痛みや視力の低下などを伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。
目薬と飲み薬は併用できますか?
花粉症の目薬と飲み薬(内服薬)は、基本的に併用できます。
目薬は目に直接作用し、内服薬は体全体に作用するため、併用することでより効果的に症状を抑えられることがあります。
目の症状が強い場合は目薬を中心に、鼻の症状も強い場合は内服薬も併用するなど、症状に合わせて使い分けるとよいでしょう。
不安な場合は、医師や薬剤師に相談してください。
子どもでも使える目薬はありますか?
子ども用の花粉症の目薬も販売されています。
市販薬の中には、1歳から使用できる低刺激性の製品もあります。
ただし、子どもは大人よりも副作用が出やすい傾向があります。
お子さんの花粉症の目の症状が気になる場合は、小児科や眼科を受診して、適切なお薬を処方してもらうことをおすすめします。
目薬の使用期限はどのくらいですか?
開封前の目薬は、パッケージに記載されている使用期限まで使用できます。
開封後は、一般的に1〜3ヶ月が使用期限の目安です。
防腐剤フリーの目薬は、開封後の使用期限が短い傾向があります。
アレジオンLXの場合は、開封後28日間が使用期限とされています。
開封日をパッケージに記入しておくと、使用期限を管理しやすくなります。
使用期限を過ぎた目薬や、液に浮遊物やにごりが見られる目薬は使用しないでください。
花粉症による目のかゆみや充血は、適切な目薬を使用することで改善が期待できます。
しかし、市販薬では効果が不十分な場合や、症状が長引く場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
以下のような場合は、眼科の受診を検討してください。
市販の目薬を数日間使用しても症状が改善しない場合や、目の痛みや視力の低下がある場合は受診をおすすめします。
目やにが多く、膿のような色をしている場合や、まぶたが大きく腫れている場合、症状が年々悪化している場合も医療機関への相談が必要です。
目の症状だけでなく、まぶたや目の周りの皮膚にかゆみや赤みがある場合は、花粉皮膚炎の可能性もありますので、皮膚科での相談もおすすめです。
代々木クリニックでは、患者様一人ひとりの症状に合わせた花粉症治療をご提案しています。
当院は皮膚科・アレルギー科を専門としており、鼻や目の症状だけでなく、花粉皮膚炎など肌への影響にも対応可能です。
皮下免疫療法では30年以上の実績もあります。
「毎年春になると肌荒れがひどくなる」「目の周りがかゆくてつらい」といった皮膚症状でお悩みの方も、お気軽にご相談ください。
花粉症の症状は我慢せず、適切な治療を受けることで、日常生活の質を大きく改善できます。
花粉シーズン前からの早めの受診がおすすめです。つらい症状にお悩みの方は、ぜひ一度ご来院ください。
東京医科大学卒。形成外科・皮膚科医師。専門はアトピー性皮膚炎、創傷外科、熱傷、美容一般。
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