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2025.07.30
とびひは特に夏場に子どもに多く見られる皮膚疾患ですが、その高い感染力から「飛び火」という名前がついており、初めて経験する方は不安を感じやすいものです。
この疾患は医学的には伝染性膿痂疹と呼ばれ、黄色ブドウ球菌などの身近な細菌が原因で起こります。
とびひを正しく理解し、適切な対処法を知っておくことは、症状の悪化を防ぎ、家族や周囲への感染拡大を防ぐために非常に重要です。
この記事では、とびひの原因と症状の分類、家庭内でできる具体的な予防策、さらには登校やプールに関する判断基準をわかりやすく解説します。
お子様のとびひに悩む方が、落ち着いて対処し、安心して治癒を目指せるよう、専門的な情報に基づいて必要な知識を整理していきます。
とびひは医学的には伝染性膿痂疹と呼ばれ、接触によってあっという間に広がる感染性の強い皮膚疾患です。
湿疹や虫刺されなど皮膚の小さな傷を掻き壊した際に、皮膚の表面にいる常在菌が入り込み炎症を引き起こすため、触った手によって感染が拡大してしまいます。
患部から滲出液や水ぶくれの内容物が出ている状態が最も感染力が強く、この液体がタオルや衣類、手などを介して、別の場所や他の人に「飛び火」のように広がることがあります。
皮膚に傷ができた時に、すぐに適切な手当をすることで、周囲への感染拡大を防ぎ、安心できる状態を保つことが大切です。
とびひの主な原因菌は、特別な菌ではなく、もともと私たちの皮膚や鼻の中に存在する常在菌である黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌です。
これらの菌は普段は無害ですが、皮膚が掻き壊されたり傷ついたりしてバリア機能が損なわれると、その傷口から侵入し、急激に増殖して皮膚の感染症を引き起こします。
健康な人であっても鼻の入り口などには多くの細菌が潜んでおり、特に子どもが鼻をいじる癖があると、指先を介して湿疹や虫刺されの箇所に菌を運んで感染の起点となることがあります。
原因菌は誰もが持っている菌であるため、過度に清潔を意識しすぎるよりも、皮膚の小さな傷を見逃さずに優しくケアすることが再発防止につながるでしょう。
とびひは、ブドウ球菌によって水ぶくれが生じる「水疱性膿痂疹」と、溶血性レンサ球菌によって厚いかさぶたができる「痂皮性膿痂疹」の2種類に分けられます。
それぞれ異なる原因菌が関与し、異なる毒素や炎症反応を起こすため見た目が大きく異なります。水疱性は乳幼児に多く夏場に流行しやすい傾向があります。
水疱性膿痂疹は破れやすくただれやすいびらん状になり、痒みも伴うため掻き壊すとさらに広がりやすくなります。痂皮性膿痂疹は膿を含む分厚いかさぶたになり、炎症がより強く出るのが特徴です。
どちらのタイプであっても患部を乾燥させず、感染を広げないように覆って対処することで、症状の悪化を防ぎながら治癒を目指せます。
タイプ名 | 主な原因菌 | 見た目の特徴 |
---|---|---|
水疱性膿痂疹(すいほうせい) | 黄色ブドウ球菌 | 破れやすい水ぶくれができ、びらん(ただれ)になりやすい |
痂皮性膿痂疹(かひせい) | 溶血性レンサ球菌 | 膿を含んだ厚いかさぶたができ、炎症が強い |
とびひは、健康な皮膚から突然発症することは少なく、多くはもともとあった湿疹や虫刺されの傷、小さな擦り傷を掻き壊すことによって始まります。
傷口は常在菌が侵入するための「入り口」になります。掻く行為で菌が皮膚の深部に押し込まれ、感染症として発症してしまいます。
特に夏場はあせもや蚊に刺された跡を無意識に掻きがちで、掻くことで患部がただれ、そこから出た液体が触れることで、さらに別の皮膚の弱い部分へ感染を拡大させてしまいます。
初期段階の皮膚の小さな傷や湿疹に対して、できる限り掻かせないように注意深くケアすることが、とびひへの進行を食い止める最初の防御策です。
とびひの感染拡大は、患部からにじみ出る滲出液や水ぶくれの中の液体に大量の細菌が含まれており、これが接触することで引き起こされます。
患部を掻いた手や、滲出液が付着した衣類・タオルなどが他の皮膚に触れると、その触れた先に小さな傷があれば、すぐに細菌が入り込んで新たな病巣を作ってしまいます。
例えば、足にできたとびひを掻き、その手で目をこすったり顔を触ったりすることで、顔の周りに次々と水ぶくれができてしまうケースがあります。
感染源となる液体を周囲に触れさせないため、治療中は患部を軟膏とガーゼなどでしっかり保護することが最も重要で、落ち着いて対処するための第一歩となります。
乳幼児や小さな子どもにとびひが多い理由の一つとして、鼻の穴の入り口付近には黄色ブドウ球菌が多く潜んでいることが挙げられます。
子どもは無意識に鼻をほじったりいじったりする癖があり、鼻の入り口にいる菌が指先に付着し、その指で体の他部位の皮膚の傷を掻き壊すことで菌を運んでしまいます。
夏場に顔の周りへ頻繁に症状が出る場合、あせもや虫刺されの傷だけでなく、鼻を触った指先からの感染が関与している可能性が高いと考えられます。
日頃から子どもの爪を短く切ること、鼻や患部を触る頻度を意識的に減らす声かけをすることが、感染予防に有効です。
とびひの治療中は、患部を清潔に保つことと、皮膚を傷つけたり掻いたりする行為を防ぐことが、治癒を早める家庭での対処の基本です。
清潔を保つことで細菌の過剰増殖を抑えられますが、掻いてしまうと治りかけの傷が再び開き、滲出液が出る状態に戻ってしまい治癒が遅れます。
痒みが強い場合は、患部を冷やす、医師に相談して抗ヒスタミン薬などを併用するなど、掻く行為そのものと痒みの双方を減らす工夫が有効です。
治療を始めたら、患部を清潔に保護し、皮膚を優しく扱う意識を持つことで、落ち着いて治癒までの時間を過ごせます。
とびひであっても入浴は可能ですが、家族への感染を防ぎ、患部を刺激しすぎないために、湯船に浸からずシャワーで済ませる方法が推奨されます。
湯船には患部から出た細菌が混入する可能性があり、特にお子さんが複数いる家庭では他の兄弟への感染を避ける必要があります。
シャワーでは石鹸をよく泡立て、患部を擦らず泡で優しく洗い流すようにします。シャワー後の排水口の清掃も忘れず行い、日常の小さな行動から感染拡大を予防しましょう。
治療中に最も重要なのは、患部を洗浄後に軟膏を塗布し、その上からガーゼや包帯でしっかり覆って露出させないことです。
とびひは滲出液や水疱内容物が他の皮膚や物に接触することで感染が成立するため、物理的に遮断して連鎖を断つ必要があります。
保護を怠ると、就寝中に布団やシーツへ滲出液が付着し、翌朝には別部位に触れて感染が拡大することがあります。包帯・ガーゼの使い方は医師や薬剤師に相談しておくと安心です。
とびひは接触感染するため、患部を拭いたタオルや直接触れる衣類は必ず専用にし、他の家族と共用しないでください。
滲出液が付着したリネン類は感染源の持ち運びになります。使用後はすぐ洗濯機へ入れ、他の洗濯物とは分けて洗うなど、徹底した管理が必要です。
行動 | 具体的な対策 | 理由(感染リスク低減) |
---|---|---|
手洗い・爪 | 頻繁に手を洗い、爪は短く切る | 細菌の拡散や皮膚の掻き壊しを防ぐ |
患部の保護 | 軟膏を塗り、ガーゼや包帯で覆う | 滲出液(菌を含む液体)が周囲に付着するのを防ぐ |
入浴 | 浴槽ではなくシャワーを選ぶ | 湯船での家族への感染や患部悪化リスクを減らす |
タオルの共有 | 患部用タオルは専用にし、使用後すぐ洗濯 | 接触感染による家族内の「飛び火」を防止 |
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