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医療コラム

2025.07.30

粉瘤(アテローム)の不安を解消!原因・症状・傷跡を残さない治療法を徹底解説

粉瘤(アテローム)の不安を解消!原因・症状・傷跡を残さない治療法を徹底解説
粉瘤(アテローム)は、皮膚の下にできるできものの中で最も一般的であり、基本的に良性の皮膚腫瘍として分類されています。
 
この腫瘍は、毛穴の一部が皮膚の奥に入り込んでできた袋(嚢胞)の中に、皮脂や剥がれ落ちた角質が溜まって形成されるためです。
 
しこりの中心部に黒い点(ヘソ)が見えることが多く、これは詰まった皮脂などが酸化した開口部であり、他のしこりとの区別に役立ちます。
 
悪性腫瘍ではないという事実を知っておけば、しこりを見つけたときの過度な不安を和らげ、冷静に治療を検討できるでしょう。
 

粉瘤は自然治癒しない?放置した場合のリスク

 
粉瘤は内容物が自然に皮膚に吸収されて消えていくことはほとんどなく、自力での自然治癒は期待できません。
 
溜まった皮脂や角質が外に出る経路がないため、放置することで袋状の構造物は徐々に大きくなってしまう可能性があります。
 
数年かけて数センチメートルに達したり、中心部の開口部から細菌が侵入し、炎症性粉瘤へと進行して赤く腫れ上がってしまうこともあります。
 
炎症を起こして痛みが強くなると、治療時の切開範囲が広がり、結果として傷跡が目立ちやすくなるため、痛みのないうちに専門医に相談するのが最善策といえるでしょう。
 

粉瘤の初期症状と見分け方:黒い点や独特の臭いはなぜ起こる?

 
粉瘤の初期症状は、顔や首、体幹の皮膚の下に現れる小さな丸い腫瘤であり、特有の視覚的・嗅覚的特徴を伴う場合があります。
 
粉瘤の中には皮脂や角質の老廃物が蓄積されているため、細菌感染を起こすと、その分解によって独特の強い悪臭が発生する可能性があります。
 
通常は痛みがありませんが、炎症を起こして化膿すると赤みと圧痛を伴い、粘稠で黄色い、臭いのある内容物が排出されるといった症状に変わるケースも多いです。
 
臭いや痛みを伴う状態は細菌感染のサインであり、生活の質(QOL)にも影響が大きくなるため、これらのサインを見逃さずに専門的な対処を検討することが大切です。
 

脂肪腫(リポーマ)との違い:見た目や触感による見分け方

 
皮膚の下にできる良性のしこりには粉瘤と脂肪腫がありますが、それぞれ触った感触や見た目の特徴に違いがあります。
 
粉瘤は皮膚の浅い層にある袋状の構造物であり、脂肪腫は皮下脂肪組織内にできる脂肪の塊であるという、発生する層が異なるためです。
 
粉瘤は皮膚直下で強い弾力や張りを感じることが多い一方で、脂肪腫は触ると比較的柔らかく、押すと皮膚の下でコロコロと動く可動性があるといった違いがあります。
 
炎症性粉瘤の場合は強い張りのせいで硬く感じられ、判別が難しくなることもありますから、自己判断に頼らず専門家の診察を受けることで安心できるでしょう。
 

粉瘤ができる原因は体質?遺伝的な要因と生活習慣の関係性

 
粉瘤の発生は、遺伝的な要因よりも毛穴の詰まりや皮膚のターンオーバーの乱れといった後天的な環境要因が主であると考えられています。
 
一般的な粉瘤の多くは、毛穴に刺激や摩擦が加わることや、皮脂分泌の過剰によって毛包が閉塞してしまうことと強く関連しているためです。
 
ニキビができやすい体質の人は、過剰な皮脂分泌や毛包閉塞といった皮膚環境が共通しているため、粉瘤ができるリスクも高い傾向があるでしょう。
 
家族に粉瘤を繰り返す人がいる場合でも、それは体質が似ている可能性の一つに過ぎませんから、適切な治療と日常の皮膚ケアで対処していくことが望ましいです。
 

炎症性粉瘤が起こるメカニズムと強い痛み・臭いへの対処法

 
炎症性粉瘤は、粉瘤の袋内に溜まった老廃物が中央の開口部から侵入した細菌によって感染することで発生します。
 
感染が進行すると、内部で膿が増殖し、袋状の構造物が破壊されて強い痛みと悪臭を伴う膿瘍(のうよう)という状態に悪化してしまうためです。
 
炎症が軽度な場合は抗生物質の飲み薬で炎症が治まることもありますが、化膿が進んでいるときは、局所麻酔下で切開して膿を出す「切開排膿」の処置が必要になります。
 
切開排膿は痛みを迅速に軽減するための緊急処置であり、炎症が治まった後に改めて根本的な被膜摘出手術が必要になる可能性を念頭に置いておくと良いでしょう。
 

粉瘤を根本的に治療する方法:形成外科で検討する2つの手術法

 
粉瘤を根本的に治すには、内容物だけでなく皮脂や角質をため込んでいる「袋(皮膜)」全体を摘出する外科的手術が必要です。
 
皮膜が皮膚下に残っていると、再び皮脂や角質が溜まり、粉瘤が再発するリスクが高くなるからです。
 
手術は通常、入院の必要がない局所麻酔下の日帰り手術として行われ、切開法(大きく切って摘出)とくりぬき法(小さな穴から摘出)の二種類があります。
 
治療の満足度と再発リスクのバランスは手術法の選択にかかっており、特に目立つ部位の粉瘤では、傷跡の仕上がりに配慮した治療法を選ぶことが大切です。
 

傷跡を最小限に抑える「くりぬき法」と再発リスクを下げる「切開法」の比較

 
粉瘤の手術法を選ぶ際には、傷跡の目立ちにくさ(美容的側面)と再発のリスクという、二つの重要な要素を比較することが必要です。
 
どちらの手術法も粉瘤を摘出しますが、切開範囲や嚢胞を摘出する際の確実性に違いがあり、それが傷跡と再発率に影響を与えるためです。
 
くりぬき法は数ミリ程度の小さな穴から摘出するため、顔など傷跡を避けたい部位で特に美容的なメリットが見込めますが、再発や陥凹瘢痕や肥厚性瘢痕のリスクがあります。切開法は皮膜全体を視認しながら除去できるため、炎症や癒着が強い場合でも再発リスクを低く抑えられる傾向にあります。
 
傷跡の仕上がりを重視する治療を希望する場合、くりぬき法の実績を持つ医師を探すなど、自分のライフスタイルや希望に沿った選択をすることが、後悔のない治療につながるでしょう。
 

どこに相談すべき?皮膚科と形成外科の選び方と治療費の目安

 
粉瘤治療の受診先を選ぶ際、皮膚科と形成外科のどちらを選択するかによって、傷跡の残り方や治療の進め方が影響されます。
 
形成外科は、身体の表面の変形や傷跡を「きれいに治す」ことに特化した専門科であり、特に縫合技術や整容的側面で高度な専門性を持っているためです。
 
炎症のない軽度の粉瘤は皮膚科でも切除可能ですが、顔など目立つ部位や傷跡を最小限にしたい場合は、くりぬき法の実績が豊富な形成外科専門医に相談するのが有利です。
 
傷跡が残るかもしれないという不安を解消し、美容的なQOLを維持するためにも、治療前に医師の専門性や実績を確認することが望ましいです。
 

粉瘤の手術にかかる費用と再発のリスクについて

 
粉瘤の切除手術は公的医療保険の適用対象であり、治療費は切除した腫瘍の直径に応じて定められています。
 
医療費の負担が明確になることで、経済的な不安が軽減され、受診への心理的ハードルを下げることができるためです。
 
例えば、3割負担の場合、手術費用は直径2cm未満で5,000円から6,000円程度、4cm以上で13,000円から14,000円程度が目安となります。別途、悪性がないかを確認するための病理検査費用として約3,000円程度が必要になることもあります。
 
手術後も粉瘤が再発する可能性はゼロではありませんが、再発リスクを抑えるための慎重な手術計画や術後のフォロー体制について、事前に専門家に相談しておくと安心です。
 

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