代々木駅西口徒歩1分
医療コラム
単純疱疹(ヘルペス)は、ウイルスが原因で起こる感染症です。
主に1型と2型のウイルスがあり、唇や鼻のまわり、陰部などに出やすいのが特徴です。
発症の前には「ピリピリ」「チクチク」といった違和感を感じ、そのあと小さな水ぶくれが集まってでき、やがて破れてかさぶたになります。
初めて感染したときは、発熱やリンパの腫れ、広い範囲の痛みが出ることもありますが、再発のときは症状が軽く、数日で治まることが多いです。
水ぶくれがある時期はうつりやすく、直接触れることや唾液を通じて感染が広がります。
再発のきっかけには、強い日差し、風邪や発熱、疲れやストレス、月経、ケガや歯科治療などがあります。
発症中は患部を触らない、触れたときは手をよく洗う、タオルや食器、リップクリームを共用しないことが大切です。
また、目や指、湿疹のある皮膚にうつることもあるので注意が必要です。
ヘルペスの治療でいちばん大切なのは、早めに抗ウイルス薬を飲み始めることです。
症状が出始めて水ぶくれが広がる前に、医師の判断でアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルといった薬が使われます。
痛みや腫れが強いときは、鎮痛薬や冷やすケアが役立ちます。
塗り薬は補助的に使われることが多いです。何度も再発する人は、違和感が出た時点で飲む方法や、一定期間薬を続けて再発を抑える方法が検討されます。
自宅でできるケアとしては、患部を清潔にして乾燥させる、水ぶくれを無理につぶさない、紫外線を避ける、十分な睡眠と栄養をとって体調を整えることが大切です。
感染を広げないためには、症状がある間のキスや性行為を控え、コンドームなどを正しく使うことが勧められます。
妊娠中の方や持病がある方は、必ず医師に相談して治療方針を決めましょう。
次のような症状がある場合は、できるだけ早く皮膚科を受診してください。必要に応じて、眼科や産婦人科、小児科での診察が必要になることもあります。
目の痛みや充血、強いまぶしさ、視力の低下が見られるときは、角膜ヘルペスの可能性があります。
また、アトピー性皮膚炎などの湿疹がある人に急に水ぶくれが広がり、発熱や強い痛みを伴う場合は「カポジ水痘様発疹症」が疑われます。
さらに、新生児や乳幼児、妊娠中の方、がん治療中の方、免疫を抑える薬を使っている方など、体の抵抗力が弱い人では症状が重くなりやすいため、特に注意が必要です。
初めて感染したときに発熱や広い範囲のただれ、食事ができないほどの痛みが続く場合も、早めの受診が欠かせません。
2週間以上治らない、膿や悪臭、急な腫れといった細菌の感染が疑われるときも同様です。
また、陰部に繰り返し症状が出る場合や、性行為後に初めて症状が出た場合も、医師に相談してください。
早めに抗ウイルス薬を使えば、症状の期間を短くできるだけでなく、合併症を防ぐことにもつながります。
市販薬に頼りすぎて自己判断せず、不安なときは受診して最適な治療方針を立てることが大切です。