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医療コラム
帯状疱疹は「水ぼうそう」と同じウイルスが体の中で再び動き出すことで起こります。
多くの場合、体の片側にだけ症状が出て、神経に沿ってヒリヒリ・チクチクするような痛みを感じたあと、1〜3日ほどで赤い発疹や小さな水ぶくれが現れます。
胸や背中に出ることが多いですが、目や耳のまわりなど顔に出ることもあります。
水ぶくれは1〜2週間ほどでかさぶたになりますが、炎症が強いと痛みだけが長く続き、「帯状疱疹後神経痛」として残ってしまうことがあります。
発症のきっかけには、免疫力の低下、疲れや寝不足、糖尿病、がんの治療などがあります。
さらに、水ぶくれの中にはウイルスが含まれているため、水ぼうそうにかかったことのない人(妊婦さんや小さな子ども、免疫力が弱っている人など)にうつす可能性があります。
発疹は衣服やガーゼで覆い、直接触れないようにすることが大切です。
帯状疱疹の治療では、できるだけ早く抗ウイルス薬を飲み始めることが大切です。
使われる薬には、バラシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビルなどがあります。
理想は発疹が出てから72時間以内に始めることですが、発疹が広がり続けている場合や顔に出た場合、高齢の方では、多少遅れても効果が期待できます。
強い痛みがあるときは、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDs)が使われます。
さらに必要に応じて、神経の痛みに効く薬(プレガバリンやガバペンチン)が使われることもあります。
顔面神経麻痺や耳の症状(ラムゼイ・ハント症候群)がある場合は、専門的な治療が必要です。
皮膚のケアでは、泡立てた石けんでやさしく洗い、乾いた清潔なガーゼで覆うとよいでしょう。
水ぶくれは自分で潰さずに保護することが大切です。再発や神経痛を予防する方法としては、50歳以上の方に帯状疱疹ワクチンも選択肢にあがります。
次のような症状が出たときは、できるだけ早く病院を受診してください。夜間であれば救急を利用するのが安心です。
まず、目のまわりや額、鼻の先に発疹が出たり、目の痛みや見えにくさがある場合は、角膜に障害が起きている可能性があります。
耳の痛みや耳のまわりの発疹、顔のゆがみ、聞こえにくさ、めまいがある場合は「ラムゼイ・ハント症候群」という重い合併症が疑われます。
さらに、高い熱や強いだるさがある、発疹が広い範囲や両側に広がっているときも要注意です。
また、持病がある方、薬の影響で免疫が弱い方、妊娠中の方、小さな子どもと接する機会が避けられない場合も、早めの受診が必要です。痛みが強くて眠れない、発疹がどんどん増えて化膿しているときも同様です。
受診までの間は、発疹をガーゼなどで覆い、触ったあとは必ず手を洗ってください。処方された薬は自己判断でやめず、指示通りに飲み続けることも大切です。